【Global Literacy:日本】読書記録:犬と鬼
BBTで学んだ科目の一つのGlobal Literacyで本当に多数の本が課題図書として設定されていたので卒業後も記録を残しながら読み進めて行きたい。
- 作者: アレックス・カー
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/01/12
- メディア: 文庫
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犬と鬼という題名の本書は、韓非子の一節からの引用である。
その昔、中国の皇帝が画家に、書きやすいものは何かと問いかけたところ「鬼」と答え、逆に書きにくいものは何かという問いに「犬」という回答があった。
上記の回答が意味することは鬼という想像のものは何とでも描けるが、身近な犬に関しては以外に描くのが難しいと言うことである。
著者は、日本学を専攻していたアレックス・カーというによる日本観察論(2002年発売)である。
我々が日本に長年住んでいて慣れ親しんでしまった様々なことについて非常に鋭い考察を展開しているので、日本人として読む価値は非常に高い。
目次を見ていただいても判ると思うが、扱っている範囲が圧倒的に広い。
これに類似する書籍としては自分の数少ない読書経験では大前研一(BBT大学院学長)の「日本の真実」などが重い浮かぶのだけど、
扱っている項目の広さと言う点では圧倒的に今回ご紹介する「犬と鬼」に軍配があがる。
PEGLでリベラルアーツ(Global Literacy)を教えて下さっている麻生川静男先生も、よく仰っているが海外の人が書いた日本観察論(この名前が正しいのかはわからないが・・・)は、
極端な部分もたまにはあるが、我々が普段慣れ親しんでいて気づかないことに気づかせてくれると言う意味で非常に意義深いものだと本書を読んで改めて感じた次第である。
特にコンクリート詰めされてどこもかしこも同じような風景になっていく日本への問題提起、更には虚勢をするような日本の幼稚園〜高校、会社での抑圧された生活に対する問題提起が非常に衝撃的であった。
読んでいて、日本人としてよい意味で物凄く胸クソ悪くなる書籍であり、ある意味非常に毒のある本だと思う。
読む人によって刺さる箇所は異なると思うのだけど、外国人の視点から見た日本論という意味で日本人が普段気づかない日本の特殊性を知ることができる貴重な一冊だと思う。
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<目次>
第一章 国土−−土建国家
第二章 治山・治水−−災害列島
第三章 環境−−ステロイド漬けの開発
第四章 バブル−−よき日々の追憶
第五章 情報−−現実の異なる見方
第六章 官僚制−−特別扱い
第七章 モニュメント−−大根空港
第八章 古都−−京都と観光業
第九章 新しい都市−−電線と屋上看板
第十章 鬼−−モニュメントの哲学
第十一章 「マンガ」と「巨大」−−モニュメントの美学
第十二章 総決算の日−−借金
第十三章 国の冨−−お金の法則
第十四章 教育−−規則に従う
第十五章 教育のつけ−−生け花と映画
第十六章 国際化−−亡命者と在日外国人
第十七章 革命は可能か−−ゆでガエル
結論
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<Global Literacy関係URL>
BBT科目:Global Literacy (麻生川静男 講義)
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecture/global_literacy/
麻生川先生ブログ (限りなき知の探訪)
https://blog.goo.ne.jp/shizuo_asogawa