papaiya yamashitaの(続)重電マン日記

世界を変える重電マン&トースマスタ― パパイヤ山下のブログ (電力インフラ海外営業&企画、そしてMBAとToastmastersとリベラルアーツの探求とよりよく生きるための原理原則に関して感じたことを綴っていくブログ)

峠(上) (新潮文庫)

峠(上) (新潮文庫)

峠(下) (新潮文庫)

峠(下) (新潮文庫)

峠(中) (新潮文庫)

峠(中) (新潮文庫)

長らくだらだらと読んでいた峠をようやく読み終えた。

もともと読むのも遅いかつ、いろいろとつまみ読みする癖があるため、一冊の本がなかなか読み終わらないという悪い癖が未だに治らないのが悩みである。

本書は長岡藩の河合継之助にフィーチャーした小説である。

多くの藩の中でも恵まれない境地に合った、長岡藩がいかに官軍と戦い得たか、それは河合継之助の存在が大きな意味を占めた。

本書にも書いてある通り、河合継之助が小藩である長岡藩に生まれた事は本人にとっても不幸であった。河合継之助にとって長岡藩はどうやら小さすぎるということは本書を読めばよく理解できる。
一方、長岡藩にとっても河合継之助を生んだ事は不幸であった。陽明学に傾倒していた河合継之助の考え方は美を追求するというものであり、時勢的に不利である官軍に対して勝つ事ができないことを承知で戦いを挑む方針をとらせることとなった。

「勝つのではなく、いかに負けないか」


この一言が非常に印象に残っている。「義」のためにここまでやる精神を明治以降我々は忘れてしまっているように感じる。

河合継之助は、開明論者でもあったようだが、それを知りつつあえて反対の道を歩み忠義を尽くした。

司馬さんのあとがきにもあるが、徳川幕府300年の間、武士というのは平和な時代の中、書を読み、独特の思想をつくりあげていったのだろう。それが、世界でも稀に見る武士道というものを作り出したということが、本書を通してひしひしと感じ取る事ができる。

戊辰戦争は正に思想の戦いであったのだ。

ここまでの思想を持ち続ける武士というものはすごいな・・・と改めて感じた一冊なのでした。